大阪句会抜粋
海原大阪句会 2023年7月句会(通信句会)
雷や一本きりのHB鉛筆 豊原清明
梅雨籠り「自由への賛歌」日がな聴く 谷口道子
透けてゆく母に色たせ青葉風 新田幸子
夜の雨たたき出したる蝉の声 白石修章
留め石で雀あそぶや半夏生 樫本昌博
既視感の敵か味方か泥濘に 瀧澤泰斗
パリー祭お菓子の好きな妻よ子よ 樽谷宗寛
颱風や舌の厚さの頼もしさ 豊原清明
キリがないからこの辺にして螢 野﨑憲子
(谷口道子記)
海原大阪句会2023年6月(オンライン句会)
夏の夜の野外オペラよヴェルディよ(法隆寺) 樽谷宗寛
新緑や夕餉身厚き焼き鰈 白石修章
ウクライナから麦が来ない暗い駅 瀧澤泰斗
蛍火や生涯通す嘘ひとつ 新田幸子
源内の消えし校歌や大向日葵 野﨑憲子
黄揚羽生るしばし吾の元留まりて 谷口道子
(谷口道子記)
海原大阪句会2023年5月オンライン句会
追悼句書かぬままなり青葉騒 樽谷宗寛
夜が過ぎ又よるがきて麦秋 野﨑憲子
きのうきょう白がいいんだ花潜 樫本昌博
髪を梳く指に春愁匂いけり 新田幸子
さえずりはボケと突っ込み雀の巣 白石修章
もっと生きろと喝を入れられ子供の日 瀧澤泰斗
鳥去ってつくづく無なる足の裏 豊原清明
広縁の脳トレ九路盤風光る 谷口道子
(谷口道子記)
海原大阪句会2023年4月オンライン句会
陽炎に小首傾げる相思鳥 樽谷宗寛
春山の満開なりと病母眼づ 豊原清明
人となりメアドにしのぶusuyukiso 瀧澤泰斗
相棒はロツクシンガー空海忌 野﨑憲子
ぽぁんと日和たんぽぽ辺りで会釈する 新田幸子
夕ひばり僕を呼んだの誰だらう 野﨑憲子
また一輪揺らぐ枝先初桜 白石修章
葉桜やシニアカートがつんのめる 谷口道子
木槿の葉芽は実の殻そっと突きにけり 樫本昌博
(谷口道子記)
大阪句会2023年3月 オンライン句会
大阪句会2023年2月 オンライン句会
大阪句会2023年1月 オンライン句会
大阪句会2022年12月句会
椋騒ぐ俄かの雨は不吉なる 瀧澤泰斗
とうとうと鷹一心のコツ忘れ 豊原清明
兎追いこの線越えたら家帰る 豊原清明
古日記堂々巡りの時間論 白石修章
陽は昇り惰性で回る日向ぼこ 瀧澤泰斗
身の内の水溢れ着て冬すみれ 新田幸子
炉開きや三年振りのにじり口 樽谷宗寛
熱戦を終えて大雪歌祭り 白石修章
山茶花散る盲の尼の掌 新田幸子
船長は山茶花宇宙船地球号 野﨑憲子
筋肉強化師走に四つ這い指示されて 谷口道子
(谷口道子記)
大阪句会2022年11月26日
理由わけあらぬさりし君は月の兎 樫本昌博
ルアー沖へ秋天はるか三ノ宮 白石修章
末枯(うらが)るるナンバンギゼルに残る紅 樽谷宗寛
酸欠のヒンドゥクシは雪模様 瀧澤泰斗
難民の少年ぶらんこの冬 豊原清明
正倉院展マロングラッセの濃密 新田幸子
冬の庭師ばっさばっさの伐りっぷり 谷口道子
(谷口道子記)
大阪句会2022年10月29日(オンライン句会)
しみこむ影よ桔梗(きちかう)に風の言の葉 野﨑憲子
ひと骨の輝く土の寒露なり 豊原清明
行列の蕎麦屋に赤い蕎麦の花 樫本昌博
山又山吉野源流水澄めり 樽谷宗寛
たましひのはなるるけはひ霧の杖 野﨑憲子
さわやかや「秋の季語よ」と一里塚 瀧澤泰斗
相続の話も途切れ彼岸花 白石修章
栗拾い村の三婆卒寿です 樽谷宗寛
花野行く臍の緒の箱ふところに 新田幸子
痛む脚やっと一段露草一輪 谷口道子
(谷口道子記)
大阪句会 2022年9月24日(オンライン句会)
大阪句会2022年月7月30日(オンライン句会)
爺ちゃんは夕顔開くとき夕食(ゆうげ) 新田幸子
ぶきっちょに玉葱吊す紅顔の爺 樽谷宗寛
我が町の土に根ざして青大将 豊原清明
夕映えの打ち水に声「おきばりやす」 新田幸子
鼻穴の大きくなりし蟻の 豊原清明
牛蛙の子の上目づかいに一歩寄り 樫本昌博
疣蛙(いぼがえる)悠々自適の貌上げて 樽谷宗寛
九条を嗤う議員に水掛ける 瀧澤泰斗
雨雲の肖像があり夏が射す 豊原清明
(谷口道子記)
大阪句会2022年6月25日(オンライン句会)
蝌蚪として生まれ無心に泳ぐ吾 樽谷宗寛
ここ石段なかなか動かぬ 樫本昌博
近寄れば発火するぞと夜の新樹 野﨑憲子
青墨をする初夏の結縁写経かな(唐招提寺) 樽谷宗寛
杜若咲いて本堂遠のけり 樫本昌博
入梅や左の乳房の重くなる 谷口道子
ほうたるに首長龍の記憶 野﨑憲子
麦秋の果つることなき佐賀の国 白石修章
仏壇でも主張する姉夏兆す 瀧澤泰斗
磯遊び波に口紅塗りません 葛城広光
(谷口道子記)
大阪句会2022年5月28日(オンライン句会)
向日葵の正面に立つという勇気 村上舞香
猫の居て田の字座敷の珈琲店 谷口道子
夏の夜の月が漕ぎますチチカカ湖 樽谷宗寛
万緑や馬の背に立つアルルカン 新田幸子
短夜や水と光としかなくて 村上舞香
あんぱんの桜の臍や艶めかし 樽谷宗寛
武器といふ武器花咲か爺さん花にせよ 野﨑憲子
藤のした胸元ゆるめ香さそう 樫本昌博
どこにゐるの?霞のここよ、あなたは? 野﨑憲子
ケの昼だな人体歳時記夏渇き 豊原清明
(谷口道子記)
大阪句会2022年4月23日(オンライン句会)
南風が膨らんでゆく先に街 村上舞香
渚には貌がぎつしり春落日 野崎憲子
入道雲私が持っている余白 村上舞香
千年の片恋それは光の巣 野﨑憲子
「父さんは無事に生きてる」春の泥 瀧澤泰斗
砂利舟に流れ散りたる島桜 白石修章
旅の絵師春の大地を風のごと 樽谷宗寛
五位鷺や無冠の吾は殿に 新田幸子
人類のゐない景色や夕陽炎 野﨑憲子
四月バカプーッと放屁のロシアかな 瀧澤泰斗
大阪句会2022年3月26日オンライン句会
大阪句会2022年2月26日(オンライン句会)
窓外の雪は東寺を縁取りて 瀧澤泰斗
牛鳴いてわっと村中霞かな 豊原清明
雪搔きのシャベルが触れた真空色 樫本昌博
火の鳥や地軸の傾きで笑う 野崎憲子
歌詠みの梅詠みてより季の 新田幸子
身の底にかすかなビート古稀の春 白石修章
岩牡蠣啜る青年の影もつれ 樽谷宗寛
中屋根の陽だまり猫の足裏見ゆ 谷口道子
(谷口道子記)
大阪句会2022年1月29日(オンライン句会)
幼き日棚田駆け行く凍み渡り 樫本昌博
天井の一点見つめ寝正月 白石修章
虹の後地蔵の涙滲みにけり 葛城広光
初詣牛丼初の女(ヒト)も 瀧澤泰斗
ものぐさの妻と吉野や年の宿 樽谷宗寛
思ひ出の丘よ月影のおほかみよ 野崎憲子
初鴉余命を語れば空しいことヨ 豊原清明
立ち燻(くゆ)るお香やいつしか妣の顔 谷口道子
(谷口道子記)
大阪句会2021年12月16日(通信句会)
箸先のさばきの自在鰤大根 白石修章
吉右衛門の永久(とわ)の俊寛寒月光 樽谷宗寛
柿の木や実ばかりつけて熟し揺れ 樫本昌博
枯れ行くか肥後の守を懐に 新田幸子
真子様にシンパのカミさん雁渡し 瀧澤泰斗
冬眠もならずやひかりの膝小僧 野崎憲子
深山のつり橋ねむり続ける母と私の 谷口道子
谷口道子記
大阪句会2021年9月25日(オンライン句会)
コーヒーを細胞に満たし秋耕す 瀧澤泰斗
コロナ禍やまゆ描き足して陣ヲ出ず 新田幸子
いつもどこかに紅ひとつ鰯雲 野崎憲子
向日葵や開花寿命は営業日 樫本晶博
居待月ぢっと仔猫の痩せ身板 豊原清明
別れ来て毬栗拾う戦中派 樽谷宋寛
転調す夕陽の水面つくつくし 白石修章
盆の月地下水脈のごと人間(ひと)生きて 増田暁子
屋根猫や大地を知らないのんき猫 谷口道子
(谷口道子記)
大阪句会 2021年6月26日
白鳥が中学生に付いて来る 葛城広光
黒雲が梅雨あけの空案内する 小宮豊和
弥勒めくゆで卵なり青葉風 白石修章
賛否五分日本迷走六月尽 滝澤泰斗
竿の先空に円弧の鮎解禁 谷口道子
青葉潮海女も白砂も燿よえり 樽谷寛子
五月雨の海辺ドラキュラの牙 豊原清明
夏椿ポン助とある千社札 新田幸子
言霊の森の奥から揚羽蝶 野﨑憲子
チャップリン相似形だな黒揚羽 増田暁子
癇性の父に差し出す蕨飯 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2021年5月22日(通信句会)
皆おとな母は早よから端午の支度 樫本昌博
雹の夕地蔵ぶつぶつつぶやいて 葛城広光
十重二十重森の緑の暗さかな 小宮豊和
葉桜や置いていかれしワクチン戦 白石修章
被爆国ノーモア核兵器批准せず 滝澤泰斗
末黒野の果て末期の母の眼あり 谷口道子
わが魂に花種蒔くよ妻ありてこそ 樽谷寛子
春深し椅子に座りて野馬の面 豊原清明
職解かれおとこ米研ぐ揚げ雲雀 新田幸子
空海を攀じ登りけり黄金虫 野﨑憲子
虚も実も剪定バサミの拠り所 増田暁子
神舞の袖翻る青嵐 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2021年4月24日 通信句会
虎杖の折ってポン食べてまたポン 樫本昌博
孝行が上手すぎて既に僧 葛城広光
バッタだけ元気だ草の波うねる 小宮豊和
永き日や見つけし亡父の通信簿 白石修章
一首一句俳歌壇に風光る 滝澤泰斗
酒蔵の香りを連れて花吹雪 谷口道子
花の岡三千世帯が蠢(うごめ)きぬ 樽谷寛子
肋間に風吹くは何二月尽 新田幸子
春の渚へひらききる感情 野﨑憲子
顧みる人生サイクルみな朧 増田暁子
電波時計狂って連翹爆発 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会(通信句会) 2021年3月27日
雨あがり蛇の髭の実は光放つ 樫本昌博
浮かぶ雲本当はちぎり絵なのですよ
葛城広光
創造の春遅々として芽の硬さ 小宮豊和
豚玉や昼のビールの途中下車 白石修章
瑠璃色の狸の目力雪を透く 滝澤泰斗
侘助や濃き紅色が吾を嗤う 谷口道子
覚えているよ紙雛折し母の手を 樽谷寛子
春の蚊のバイクの音の激しさよ 豊原清明
花こぶし歩こう今日もいい天気 野﨑憲子
人と会う嬉しさに似て花種まく 増田暁子
望郷のごと茎立ち突っ立って 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2021年2月27日
拳あげじっと時まつ冬デイゴ 樫本昌博
カタツムリ殻の中の曲がり風 葛城広光
鼻すする老妻となりバレンタイン 白石修章
一人居の心にはるか虎落笛 小宮豊和
自由の碑アルプス遥か冬日和 滝澤泰斗
空へ血を吐くごとしや詩人の魂 谷口道子
へうへうと泥つき大根運ぶ爺 樽谷寛子
初蝶の先に集まる両手かな 豊原清明
枯はちす声上げ五体軋みゆく 新田幸子
手を放すなら今風船がノツクしてゐる 野﨑憲子
(フクシマから10年)
斑雪いつかは戻ると移り住み 増田暁子
冬の噴水人寄ればはしゃぎだす 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2021年1月23日(通信句会)
千度の火くぐりし母よ冬の月 樫本昌博
球体の夜を汲んで寝坊する 葛城広光
古い森鹿の形の影走る 小宮豊和
ゆく年や鏡の中に居るは誰 白石修章
カバ親子窓から怪訝の雪野原 滝澤泰斗
透ける空希望の色足す寒椿 谷口道子
飛火野や鳥の目塞ぐ春(はる)疾風(はやて) 樽谷寛子
たましいを撃ち抜くものよ冬鴉 豊原清明
語部は紅いびいどろ雪しんしん 新田幸子
初日さす雲間雲間からイマジン 野﨑憲子
千枚漬け発酵してくる息子(こ)の正論 増田暁子
自由意志です林檎かじってます 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2020年12月19日
絵手紙の冬の鸛来し地酒買ふ 樫本昌博
干し大根十数羽として飛びたちぬ 葛城広光
両岸にさみどり生ひて小川かな 小宮豊和
爺の顔ちらり覗き見おでん鍋 白石修章
父母姉に取り残されて冬の旅 滝澤泰斗
月の舟大福好きの先生よ 谷口道子
(金岡純子追悼句)
句友悼みて銀杏散るなり御堂筋 樽谷寛子
寒鴉途切れ途切れの呼吸かな 豊原清明
竈猫検体叶わぬ身となりぬ 新田幸子
鈴が鳴るとき狐火みんなゐなくなる
野﨑憲子
着ぶくれて天地無用の荷となりぬ 増田暁子
ずるずると帯を引き摺る紅葉狩 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2020年11月21日
冬アザミ吸いつ蜂雀ホバリング 樫本昌博
コロナ禍で私一枚のコピー紙 葛城広光
鳥獣虫魚冬の木霊が森語る 小宮豊和
落葉焚昨夜のさよなら満塁打 白石修章
秋場所の土俵飛び出し桟敷まで 滝澤泰斗
庭木の陰白き光や野菊咲く 谷口道子
新豆腐届く刻です丘晴れて 樽谷寛子
冬天の殺す思いの憎さかな 豊原清明
家中を灯してひとり暮早し 新田幸子
たつぷりと陽を懐に冬立ちぬ 野﨑憲子
自分史や灯ともすように石蕗咲いて
増田暁子
少しずつ時計の狂う紅葉山 榎本祐子
(榎本祐子・記)
大阪句会 2020年10月21日
無造作にタオル凍って蛍光灯 葛城広光
白く白くはしる秋風空が鳴る 小宮豊和
時間論厭きて秋日ごろ寝かな 白石修章
暴風に飲み込まれゆく特攻基地 滝澤泰斗
十月は普段の極み日暮れ路 竹内義聿
玉すだれパキっと出そろう妣の庭 谷口道子
色鳥来なぜか悲しい女優の死 樽谷寛子
秋燕やこの谷底へまた来いよ 豊原清明
捨案山子眠る瞼は持たぬまま 新田幸子
露の玉の中に玉ありヒッヒッフー 野﨑憲子
信楽焼(しがらき)の子だぬき二ひき草もみじ 増田暁子
またひと粒山に吸われて帰る星 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 9月19日
案山子たつ家族揃うは畑かな 樫本昌博
羅(うすもの)の母を白南風巻きしめる
子等帰り高きを競う秋茜 白石修章
アルプスにキベリタテハの気ままかな
滝澤泰斗
読み書きの夜長あなたは不老不死 竹内義聿
怪しげなざわわきっと大夕立 谷口道子
コロナ禍(まが)バベルの塔の絵ざわつくよ
樽谷寛子
私の柔らかい臀肉天の川 豊原清明
カマキリのゆめ曼珠沙華の夢夜明け
野﨑憲子
屏風絵を抜けて遊女の月光浴 新田幸子
かなかなや不要不急と肩が凝り 増田暁子
沼(ぬ)島(しま)よりポルカのリズム秋黴雨
人に逸れ笛の洞ろへ秋の息 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2020年8月13日
大阪句会 2020年7月18日
大阪句会 2020年6月20日
大阪句会 2020年5月16日
鈴蘭に蹴躓きたり鈴拾う 樫本昌博散水車艶艶艶の字を配る 葛城広光
その角を曲がれば別の世の五月 小宮豊和
人絶えて透ける葉桜空のずれ 白石修章
再びの抑留地にて春と逝く 滝澤泰斗
高架電車の地面に百済沈みゆき 竹内義聿
コロナ疲れソファー斜めの人形たち
谷口道子
怪光を集めて菜の花蝶と化す 樽谷寛子
夏の犬ひょろひょろとして土を食う
豊原清明
ステイホーム無聊を託(かこ)ち臍のごま 新田幸子
舌先でつくるシヤボンや蛇の衣 野﨑憲子
ゆびきりの針千本蛇は皮を脱ぐ 増田暁子
青みかん早口ことば競いたる 矢野千代子
ときどきは春蟬のよう泣いてみる 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2020年4月18日
菫かな駆け寄りのぼりその先も 樫本昌博動物の悦び赤いマッチ飛ぶ 葛城広光
桜さくら痴呆が一人立ち尽くす 小宮豊和
友逝くやコロナ籠りの花の雨 白石修章
コロナ禍が戦争の体万愚節 滝澤泰斗
孤独死の爪切りそろえ路地の月 竹内義聿
落花の道湿りの気配に沿いながら 谷口道子
夕映えのぶらんこ金剛山(こんごう)蹴る少女 樽谷寛子
野遊びの恋人残し影広がる 豊原清明
開園ベル河馬はガバリと水を脱ぐ 新田幸子
櫻騒潮騒人騒コロナ騒 野﨑憲子
紅を差す女人の腰や牡丹の芽 増田暁子
実万両くしゃみぽとんと乙訓(おとくに)へ 矢野千代子
囀りの伸びて縮んで生き急ぐ 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2020.3.21
祖母の手も観音さんも白木蓮(はくれん)か 樫本昌博木の芽時閑職の椅子逆さまに 葛城広光
卵かけごはんまぶしい寒の朝 小宮豊和
涅槃西風悲しいねえと独り言 白石修章
儒者賢者密使早駒やばい口舌 竹内義聿
コロナ禍にやがて悲しき地球冷え 滝澤泰斗
花殻を摘めば冷たき椿かな 谷口道子
梅ひらくように「歎異抄」輪読す 樽谷寛子
うりずんや湿気た聖書開く閉づ 豊原清明
会者定離切子グラスの花薊 新田幸子
囀やブテイツクこまどり閉店前 野﨑憲子
球根植うひらがなかたかなちりばめて
増田暁子
兜太の忌金剛山(こんごう)稜線太々と 矢野千代子
爪を切る音が桜を咲かすのです 榎本祐子
(榎本祐子記)
大阪句会 2月15日
冬帽のほどけそうだよ辛夷蕾 樫本昌博歯磨き粉ぽとり落として蝸牛 葛城広光
卒業す板の廊下を踏み鳴らし 小宮豊和
受験生きりり髪結う自習室 白石修章
迷惑かけることが生き甲斐かも知れぬ
竹内義聿
白さ際立つ迷わずずっしり大根焚き
谷口道子
春手袋百済観音に会いたし 樽谷寛子
春月輝吾は兜太読み耽る 豊原清明
星凍るホットケーキのふ~わふわ 新田幸子
あやかしの大欠伸して雪まろげ 野﨑憲子
霞む比叡山(ひえい)影絵のように友病んで 増田暁子
沢蟹や膝やわらかに湖族われ 矢野千代子
効きすぎの暖房ころんと尾骶骨 榎本祐子
(榎本祐子記)
2019年12月21日
闇落ちの夜に開く桜貝 葛城広光
立枯れの枝の剪定壺中天 白石修章
ネコ動画いいねしてノンキ年の暮れ
滝澤泰斗
尿瓶携行は兜太の理性汚染の野 竹内義聿
柘榴食ぶかしこまって二人 谷口道子
褞袍着て常宿(やど)に納めし翁面 樽谷寛子
暗窓に鴎の死骸冬の刺 豊原清明
どのレジに並ぼうかしら赤のまま 野﨑憲子
冬帽子見たいものしか見えぬ街 増田暁子
日暮はやし物集女(もずめ)集落はここ 矢野千代子
非戦派や焼芋で臍あたためる 榎本祐子
(榎本祐子記)
2019年11月16日
脚高蜘蛛日めくり裏で時とめる 樫本昌博むし米の蒸気冬晴れの鬼瓦 白石修章
クリスマス林檎の皮にピアス刺す 葛城広光
ポプラ枯れ眠りにつかむ抑留墓地 滝澤泰斗
夜更かしの蝉酸欠の工房 竹内義聿
鳶しきり石灯台の冷えて来て 谷口道子
炉開きの香練る指の美しきかな 樽谷寛子
牢屋から冬虫の出て我赤目 豊原清明
深鉢に小芋の煮付帰心逸る 新田幸子
扇ひらけば狼の遠吠え 野﨑憲子
齢人(よわいびと)のおどけ笑いに似て芒 増田暁子
けんかまつり天王山へ曇奔(はし)る 矢野千代子
石蕗の黄の標のありて逝きにけり 榎本祐子
(榎本祐子記)
2019年9月21日大阪句会
手のひらで天道虫とシーソーす 樫本昌博末の世もすみっこぐらし栗ご飯 白石修章
ヤンキーは制度に不満ゆで卵 葛城広光
定刻に自転車ぴしゃりヘルパー来る
竹内義聿
終り際なべて天指す百日紅 谷口道子
ふらり来て今朝の挨拶蛇の目蝶 樽谷寛子
八朔や四方八方白き壁 豊原清明
運動会白線ばかりを暮れ残す 新田幸子
ググーポッポ満月かついでくる少女
野﨑憲子
眠れぬ闇銀河を越える櫓が聞ゆ 増田暁子
麦藁くべて産着干したるここ若狭
矢野千代子
脳軟化鰯の干物しゃぶっている 榎本祐子
(榎本祐子記)
2019年8月17日
蟻達が迷う地面に拡声器 葛城裸時天の川村深々とデブリ溜まる 白石修章
木槿の花が全開の朝蝉沸き立つ 竹内義聿
台風来浄土へ着けたか「だ骨」さん 谷口道子
鴉の子きらきら貌でおらを呼ぶ 樽谷寛子
八月や魂の宿りを嬉々として 豊原清明
打水や女将に一つ艶ぼくろ 新田幸子
?しぐれ杖のなかほどほの赤し 野﨑憲子
蒜山高原寝入るテントに「ベガ」が射す 増田暁子
べろべろと血を吐きカンナ咲かすのよ 榎本祐子
(榎本祐子記)
2019年7月20日大阪句会
白鳥が水になったよ白い水 葛城裸時月天心斜陽の街の盆踊り 白石修章
通函で繋ぐ解体業の夏 竹内義聿
愚痴が回復八十路の暑葉書にウフフ 谷口道子
雨蛙「YMCA」は踊れまい 樽谷寛子
浮世かな今朝は二度寝の冷し粥 新田幸子
胸のボタン弾けそうなり梅雨の月 野﨑憲子
沖縄の孕む朱色や八月来 増田暁子
鮮やかな唇の色囮鮎 豊原清明
黐の花夕べむんむん煮くずれて 榎本祐子
(榎本祐子記)
2019年6月15日の概要 大阪句会
頂にビーコン白し佐渡萱草 白石修章
2019年5月18日の概要 大阪句会
色丹のカールおじさんは田螺 葛城裸時花水木ままごとのよう友の墓 白石修章
愛妻家飽きもしないで冷奴 小西豊和
令和零年お降(さが)りハレルヤ津々浦々 竹内義聿
椨(たぶ)若葉笑いすぎだよ宇治の山 谷口道子
学校とうあしたの種を播くところ 新田幸子
囀や歩けば歩くほど混沌 野﨑憲子
黄昏草ベンチの隣が空いてます 増田暁子
若気の至り羊蹄を食べ過ぎた 榎本祐子
(榎本祐子・記)
2019年4月20日 大阪句会の概要
平成を咲き収めんと残花かな 白石修章
増田暁子
矢野千代子
2019年3月16日 大阪句会の概要
下校の児何を捜すや土手青む 白石修章
2019年2月16日 大阪句会の概要
なんきんに多分深い海がある 葛城裸時げんげ田の雲に電報サイキコウ 白石修章
ちんまりとまるで古漬日向ぼこ 小林寿美子
知らんけどな聞いたことやと大阪人 竹内義聿
雪の大原とちもちぜんざいお薦めです 谷口道子
冬木透き九度山沿線はにかむよ 樽谷寛子
荒波や佐渡の世阿弥に紅椿 新田幸子
影法師も小石も風も囀れり 野﨑憲子
すし桶に切って酢めしや春の声 野村だ骨
風花や鉄路に秒(とき)の吹き溜まり 増田暁子
対岸は室津港とう梅ほつほつ 矢野千代子
春月が舐めゆく路上アートの壁 榎本祐子
(榎本祐子記)
2019年1月9日 大阪句会の概要
昼休み海月のように温かい 葛城裸時明の春けんけん踊りの踵より 白石修章
望郷や墓に通じる雪の道 滝澤泰斗
卓に水仙鰈からりと骨まで素揚げ 竹内義聿
膝痛や獅子頭の紅今日はきつすぎ 谷口道子
エプロンは「くまのプーさん」芹を摘む
樽谷寛子
おおかみに出合う男女よ春峠 豊原清明
冬すみれ無音の底の海潮音 野﨑憲子
初夢や海鼠の彈力丸呑に 野村だ骨
白さざん花ざわめく島の診療所 新田幸子
恋はしたたか跋文のごとつもる雪 増田暁子
追従や頬杖のぼる冬の霧 矢野千代子
ペンギンの足のようなる愛探す 榎本祐子
(榎本祐子記)
2018年12月15日 大阪句会の概要
昼の月一直線に鼬の子 白石修章
滝澤泰斗
樽谷寛子
2018年11月17日 大阪句会の概要
冬の雨乳のしたたるのと同時 葛城裸時穭のぶ亡父へ電話の請求書 白石修章
石頭は突然変異ななかまど 小宮豊和
聞け慟哭見よ一面のブタ草を 滝澤泰斗
顔を洗えば髑髏がうごくヒヤシンス 竹内義聿
雲の湿りや亡母の手編みセーターは 谷口道子
地図絵皿周防の国の柚子を盛る 樽谷寛子
花野風かくれんぼの鬼みいつけた 野﨑憲子
曼珠沙華消えた村から又、一人 野村だ骨
茶の花や産着ぬぐよう月の暈(かさ) 増田暁子
荻の声灸点がまだ定まらぬ 矢野千代子
柿の種つるんと呑んで天高し 榎本祐子
(榎本祐子記)
2018年9月15日 大阪句会の概要
霧はまだとおっていない歯の隙間 葛城裸時行く春や弛む夕餉の糸電話 白石修章
微香せり白い夜明けの稲の花 小宮豊和
垂直に蠍座モンゴル大とばり 滝澤泰斗
椎茸栽培のように生き延び文句あるか 竹内義聿
秋刀魚その黄色き吻(くち)よ夢のあと 谷口道子
姥百合や声つつぬけの丘の寺 樽谷寛子
確認は歯型の哀れ曼珠沙華 野﨑憲子
座布団の厚さに秋を出迎える 野村だ骨
咳き込んで銀河の雫を見失しなう 増田暁子
送り火やひとりの夜の泡立てる 矢野千代子
擦れ違うちりっと金属質の秋 榎本祐子
(榎本祐子記)