海原(かいげん)創刊の辞より

海原(かいげん)創刊の辞より
 俳句形式への愛を基本とし、俳諧自由の精神に立つ
           「海原」代表 安 西 篤


2018年9月30日日曜日

関西スクールの概要

関西スクール 令和二年七月十一日(通信教室)

森女に甘える一休山笑う            樽谷寛子
夜の川腹に響くや牛蛙             松本 孜
梅雨寒やヒールにからむ捨てマスク  谷口道子
梅雨寒や寺の茶畑刈り揃う           村上紀子
深深と積もるコロナ禍大祓え         太田順子
なよよかや白い夜明けの稲の花    小宮豊和
紫陽花の萼に宿りし夜の雨       上月さやこ
うたた寝の夢を追いこす夏至の夜  上月さやこ
朝焼は賛美歌のごと父母のごと     白石司子
人間(じんかん)にウイルス紫陽花に日が当たる 榎本祐子
笛に息いま空蝉になる途中           榎本祐子
黒南風に雲読む卑弥呼の吊眼かな  白石修章
片陰ゆく防犯巡視山の街            坂本久人
ゆうやけこやけそして僕等のホームタウン  増田暁子


関西スクール 令和二年六月十三日(通信教室)  


春の下駄みたいな形に水へこむ      葛城広光
青嵐古刹の境内吹きめぐる              樽谷寛子
紫陽花や廃墟の隅で自己主張          松本 孜
想念の箱かな紅い夾竹桃                 太田順子
明日がいい今日の私に散華かな    太田順子
驟雨なり我がてのひらに父母に    白石司子
紫陽花や手洗い借りる無人駅        村上紀子
過疎なれど名医住みたり花菖蒲    村上紀子
たんぽぽのような赤ちゃん抱きにけり   小宮豊和
コロナよ鎮まれ泰山木の花ひらく   野崎憲子
鼻唄に合わせて新ジャガ炒る夕べ   上月さやこ
静寂に星を浮かべる代田かな       上月さやこ
新緑の朝の沈殿白きランナー       白石修章
郭公の託卵母は白寿に近くなり  増田暁子
明日へのきりのない夢山笑う     坂本久人
にぎやかに位牌の金文字春が行く   榎本祐子
山清水クエクエコンとタゴガエル
  (タゴガエルは赤ガエルの仲間だが山に響く大きい声で鳴く)谷口道子



関西スクール 令和二年五月九日(通信教室)


赤ん坊耳だけ大きくつくられて   葛城広光
迷路かな手帳の中の五月尽     太田順子
春は散歩寄り径近路まわり道    樽谷寛子
一揆の村過ぎしより蜂の唸り    白石司子
筆談の余白に蝶のいる真昼     白石司子
令和の世先は試練の新コロナ    松本 孜
戦後史を図書から拾う春炬燵    松本 孜
西行忌水面(みずも)を走る雲一片  坂本久刀
桜さくら痴呆が一人立ち尽くす   小宮豊和
約束の再演中止藤の花       村上紀子
雉と出くわす山上憶良かな     榎本祐子
つくしんぼ人に逸(はぐ)れてしまいけり  榎本祐子
亀鳴くや時に委ねて鹿苑寺     白石修章
幼き日蓮花を編みし淡き恋     上月さやこ
牡丹の芽祖母は華やぎ語らずに   増田暁子
色褪せのコロナマスクや空が薹立つ 谷口道子


関西スクール 

関西スクール 令和二年四月十一日(通信教室)
カッコ内は講師の評
種案山子婆の水筒肩にかけ    樽谷寛子
秋の川おんぬおんぬと音がする 葛城広光(このオノマトペは◎)
コロナ騒ぎ冴え返る田に老一人  松本 孜
鯨噴く夜なり海は青を謳い   白石司子(心象風景だが、ありありと景が見えて◎)
雪の回廊花道とも道行とも   白石司子
退職す分水嶺は雪ながら    小宮豊和
春はあけぼのひよこの大群生まれ出る  小宮豊和
六甲や春には春の怪気炎     太田順子(怪気炎はさもありなんと納得。なかなかです)
春星に懐中電灯まっしぐら   太田順子
句をひねる心の文字や風光る  坂本久刀
うぐいすのケキョの裏声媚薬なり 増田暁子(媚薬と断ずるは快挙)
囀や臨月の胎児(こ)がキックする 増田暁子(囀の季語があっての極上の一句)
新コロナ遊び上手の子ら公園   金岡純子
陽炎やコンテナ昇る巨大船    白石修章
葉裏よりふとさよならと初蝶   白石修章
窓側で自粛してをり花の雨    村上紀子
考える葦の若葉を風揺する    村上紀子(自然現象と人間の存在感を捉え、スケールが大きい)
ぎざぎざの己が影あり茎立ちぬ  榎本祐子(取り合わせ◎。茎立ちぬが抜群に良い)
コロナ禍やマスクの紐がからみつく  谷口道子
梅一輪濡れて寂しさまさりけり  上月さやこ(きっちり表現できている)
戯れに手と手を結ぶ夕霞     上月さやこ(恋人直前の気持ちを具体化し、うまい)

 (2020年3月は新型コロナを勘案して、休講としました)


関西スクール 令和2年2月8日
果てしなきあなたへの道冬銀河     上月さやこ
焼き鳥屋仮面だけになった人      葛城広光
枯野原父母という遠き汽笛       白石司子
賀状くれし友大寒に送るとは      金岡純子
追憶の波紋を残す初景色        坂本久刀
ボス猿に発信器付け吹きさらし     村上紀子
芹なずなていねいに生きて老い白む   増田暁子
日に九里けふは葛城山(かつらぎ)猪かけて  樽谷寛子
山眠る次なる命育みて         松本孜
寒鮒や流しに光る鱗とり        白石修章
年賀エアメール夫君の返信妻逝きしと  金岡純子
杖とする古人の影や大和冴ゆ      阪本久刀
別の世の音重なり来(く)寒夜なる      小宮豊和
日本はマグマの宮よ梅ひらく      野崎憲子
鋤く人とかすかに離れ寒鴉       村上紀子
余寒なほ内耳にジェラシーの微音    増田暁子
雁木坂下れば城の梅が香よ       樽谷寛子
沈丁花二〇歳の日日昭和かな      太田順子
春山茶花モガの母がふっと現る     谷口道子
                 (谷口道子記)
関西スクール    2020年1月14日
講師からの高評価の句
寒波くる人生苦しく山静か      坂本久刀
大年の猫と戯むる車椅子         村上紀子
限界集落海市の邑をゆくごとく  白石司子
婆ちゃんが青かびけずる鏡開     増田暁子
鯛の粗突き令和も暮れにけり     白石修章
冬の霧立ちこぎで消ゆジーパンの腰
                                  谷口道子
君の手が梳く黒髪に寒椿         上月さやこ
一月の光ふくらむ木匠館(川上村)
                                            樽谷寛子
地吹雪や体を病めば日々は旅     坂本久刀
老姉妹語らううちに去年今年     金岡純子
人日や己が両手で頬たたく        村上紀子
裁断す樹氷の育つ夜の音           榎本祐子
落つばき紅い布団の迷宮事件     増田暁子
大柘榴食ぶかしこまって二人     谷口道子
消灯の炉なる種(たね)火や遠雪崩
                                          小宮豊和
元気です父に告ぐ日の雪見草   上月さやこ

講師の説明

「婆ちゃんが」の句「鏡開婆ちゃん青かびけずってる」と動作に焦点を。
「鯛の粗」の句「鯛の粗突つき令和の木の葉髪」など具体物で。
「一月の」の句「一月の光ふくらむ奥吉野」等多くの人が連想可能な地名で。
「裁断す」の句、裁断すが何を裁断しているのか不明、布を断つなどと。
「元気です」の句、雪見草を雪間草に(季感が合わない)。



関西スクール  令和元年12月14日
講師の高評価を得た句、並びに講師の注釈

舞台終えし頬にひんやり冬の虹  金岡純子
  (キレがあればより広がる)
てのひらをこぼるる刻よ冬すみれ  野崎憲子
  (冬すみれが聞いている)
冬の月白さをまして君は来ず  上月さやこ
  (上五、下五を入れ替える) 
廃校の庭精気漲る落葉かな  坂本久刀
  (上五で切れ、落ち葉は朴落ち葉などより具体を)
枝ぶりは亡父の古さよ松手入れ  白石修章
  (あっさりしているが、なかなか良い)
行く秋の夜の心音それともノイズ  榎本祐子
  (ノイズに微妙な感じを掬い取った)
冬灯晩成さぐる電子辞書  増田暁子
昼飯を一人で食んで十二月  小宮豊和
  (大好きな句だ)
身体中空気になった岩の塩  葛城広光
  (空気にかわるに)
山紅葉日増しに艶を増す丹波  松本孜
藁塚の崩れしままや母の背や  樽谷寛子
  (新しい句、ありありと景が見える)
眼底に暗き海溝吹雪くなり  白石司子
  (現代俳句の特徴を持つ句)
霜柱いよいよ黒く豆乾く  村上紀子
  (色の対比が良い)
寒林や時は過ぎ行くすみやかに  坂本久刀
  (寒林が効いている)
喉越しの熟柿あちらから風来る  白石修章
  (あちらからに感心)
息止めて橋を渡れば髪枯れる 榎本祐子
  (橋をさらに具体的に)
爪ほどの椿の蕾命の温さを  谷口道子
  (下五を抜くしで止める)
身辺を行き来する影十二月  小宮豊和
  (十二月だからこそ)

                 (谷口道子記)

2019年11月9日   

飛沫のごとこの陽を楽しむしじみ蝶  増田暁子
虎落笛夜の瘡蓋を剥がしおり    白石司子
太き根や大地に深く黒枝豆        松本 孜
鴛鴦の番ようこそ道頓堀川        金岡純子
やらやらと肉を焦がして秋汚す 榎本祐子
人生は日々の織物文化の日        坂本久刀
豆を煮てをり月光を浴びてをり 小西瞬夏
断層の破砕の間延び蚯蚓鳴く    小宮豊和
読み聞かす声の安らぎちちろ虫 増田暁子
懸巣鳴く僕らは風と徒競争        樽谷寛子
死の淵を揺らしゐるごと鹿の声 白石司子
もて余す枝豆残渣嵩張りて        松本 孜
銀杏の潰れし道も風物詩            金岡純子
鳩吹いて夕陽を海に返すかな   村上紀子
人体の瑕のひろごる櫨紅葉    河田清峯
気がつけば老いの山坂体育の日 坂本久刀

2019年9月14日   関西スクール


夏草と斗う日々の深き皺    松本孜

アイドルを真似る幼子盆踊り  村上紀子

盆飾り来年もこの手でと合掌  金岡純子

塀の中私という驟雨かな    白石司子

夾竹桃の白さ疼くヒ・ロ・シ・マ   谷口道子
新茶淹れては蘇る濃き青空   坂本久刀
苺の実鎖かたびらを動かすぽ  葛城裸時
蝶鍬形(くわがた)虫竹馬の友も山住い  小宮豊和
壊れたピアノ一本指で弾く愁思 増田暁子
虫籠の闇に残りし目玉かな   白石司子
歯を抜かれ鰯雲まで帰るなり  榎本祐子
夏椿は揺れて未来へ翔るかな  坂本久刀

武田先生の講評
本日の最高句は
苺の実鎖かたびらを動かすぽ  葛城裸時
 ただし、次のように変えることを検討する。
蛇苺かたびらを動かす ぽ
独特で他の誰も書けない句だ。



2019年7月23日 関西スクールの概要

参観日紙の時計を持っている              葛城裸時瞬かぬ青蛙いてマトリョーシカ            河田清峯奥の院に悟道の音や滝こだま             坂本久刀川鵜飛んでる寝ぐせの髪が笑ってる          榎本祐子鶏頭花ゆずれない質(たち)そちこちに    増田暁子昼寝の犬ぶどう五粒の足裏かな            谷口道子老鶯や主義主張なく店たたむ             村上紀子空梅雨や水路に鋭い農夫の眼             松本孜バックパッカー風麦秋の観音寺            白石修章旅に来て鮟鱇の貌吾にへばりつく           樽谷寛子城跡の無人の校舎炎天下               坂本久刀完璧やおおむらさきの羽化終る           小宮豊和千代子さんあなたの小塩山立夏           谷口道子                  (谷口道子記)



2019年6月8日 関西スクールの概要




講師の高評価の句



昭和人平成豊かに老を生き          松本 孜

雨の声手繰りよせてる棕櫚の花        増田暁子

友来る土産の切り花蟻お供                         金岡純子

振り返るたび風光る岬かな                         白石司子
口漱ぐ母の音して山滴る                             野崎憲子
青水無月東京を打つ兜太日記                       河田清峯
茎立ちて西洋辛子菜空は紫                        谷口道子
遠景に据わる二上山花の雨                           坂本久刀
畔塗るや田は一面の水鏡                            松本孜
夜毎の闇記憶に溜める白牡丹                       増田暁子
抱きあげる母が笑うよ豆ご飯                       村上紀子
通りすがりの牛蛙でござります                   野崎憲子
枇杷の実が好きなんですよ虫歯抜く                 河田清峯
救命センター梅の実ややの爪ほどの                 谷口道子
アメリカを恋ふ呻きなり牛蛙                      小宮豊和

講評抜粋

「昭和人」は「昭和・平成」に。
「青水月」の句、「打つ」は「撃つ」の方がリアル感。
「茎立ちて」のく、下五を上に。
「夜毎の闇」の句、何処で切れるかによって、二重性の面白さがある。
「通りすがり」の句、変だが抜群にうまい。
                  (谷口道子記)


   


令和元年5月11日


講師の高評価の句



春の水飴がゆっくり割れていた      葛城裸時

光秀の母と眺める青丹波         村上紀子

銀杏並木一気に芽吹き都構想 GO       金岡純子

紫木蓮不惑は遠き傘寿なる        小宮豊和

ひらひらり黄蝶野を嗅ぐ奥の院      白石修章

寂しさも生き抜く力風光る        坂本久刀
牡丹の芽輪廻の色は燃ゆる血に      増田暁子
平成終わる日鵤(いかる)一羽我が庭に    谷口道子
一瞬の瓦の浮遊台風来          白石修章
一飛花に攫われている山羊の眼よ     河田青峰
心中に生きる山清水恩師の訃       坂本久刀
               (谷口道子記)
講評抜粋
「春の水」で切れる。「飴がゆっくり割れていた」ではなく、「ゆっくり割れだした」 でよくなる。
「一瞬の」の句、「台風来」ではなく「夏台風」でどうだ。


平成31年4月13日

講師高評価の句
春の風呂足の指よりやや低い       葛城裸時
厨子王の和船ゆらゆら梅の山       村上紀子
大切なものから捨てて桃の花       野崎憲子
中之島の鳥獣戯画展冴え返る       金岡純子
生き死には厳と病棟冬が逝く       小宮豊和
楽しさは自由の身や柳絮飛ぶ       坂本久刀
辛夷咲く母家も分家も香に包み      増田暁子
ふと春愁横断歩道の真ん中で       榎本祐子
ミモザ行方不明の時間です          河田清峯
樹木葬の幟はためくおむすびころりん   谷口道子
春の虹十一日を禱るまも         村上紀子
木の芽雨鍼灸院の繊き針         榎本祐子
リュウグウへ行きたしデコポンもらったり 河田清峯
                  (谷口道子記)
講評
「花ミモザ」の句、座五の「です」の断定が説明っぽい。
「行方不明となる時間」としてはどうか。



平成31年3月9日

講師による高評価の句

虚空蔵山の明るさ満たす初音かな   坂本久刀

永き日や路地いっぱいのランドセル  白石修章

淡海の春金平糖がびんの底      増田暁子

自転車通勤恋猫と擦れ違う      榎本祐子

西宮戎の韋駄天我が療法士も     金岡純子

兜太の忌若木にあふるる梅の白    谷口道子

旅の宿銘酒一献牡蠣フライ      松本孜

逃げ水追うメリケン波止場の赤い靴  増田暁子

耳疎き日や茹ですぎの法薐草     榎本祐子

去年今年再放送攻めのNHK     金岡純子

白梅や蕾に母を誘う色        村上紀子

 講評
「淡海の春」と「びんの底」、「自転車通勤」と「猫の恋」の対比の面白さ。
「逃げ水追う」の季語がうまい。
    


平成三十一年一月十二日

講師による高評価の句

鹿網を除して元の田に戻る            松本孜綾取りの三角四角年の果             白石修章バーチャルな恋のはあはあ霜柱     榎本祐子林檎むく凜と左手のピアニスト        増田暁子屯田碑にオホーツクの風初景色        坂本久刀初春や翁の面が謡い出す              樽谷寛子翡翠の目つけたる聖母七日粥      村上紀子年の瀬や平成平和に生き続け      松本孜屋島嶺の待ちかねている初明り     河田清峯初凪やはっと湾奥より汽笛       白石修章寒に入るトイプードルの二割引き    三好つや子掌にゴツと故郷(さと)の記憶よ大和芋   谷口道子石山寺に日向ぼこして風甘し      坂本久刀去年今年愚直に並べ五・七・五     小宮豊和

 今回の注意点
 句を鑑賞する場合、意味で読もうとしないこと。句の生のところ、イメージを感じ取るように。
 逆に、句を作る場合。独りよがりではだめ、読み手を意識して少し具体を加えればよくなる。
 写生句はイメージが浮かびやすい。ただし、並みになりやすい。心の中の景を読むのも良い。


関西スクール 平成三十年十二月八日 

講師による高評価の句

秋の蛙しまい忘れし片足よ    樽谷寛子
雛ぎくのぎくに落ちた聴診器   葛城裸時 軒に吊る朱き猪肉手に余る    増田暁子 梟の眠りの中は多面体      白石司子 梟は一刀彫の闇なんだ      三好つや子 次の風に乗ってくつもり冬紅葉  野崎典子 迎合なしやどり木は冬青々と   小宮豊和冬隣無名地蔵の欠茶碗      松本 孜サフランや城門を出る飾り馬   村上紀子表参道べた足軽き落葉かな    白石修章寒星や育ての親の故山行く    坂本久刀北斎の腕まくり4Lの小布施栗  谷口道子
缶蹴りの缶に広がりゆく冬野   白石司子 ちゃんちゃんこ月曜病を懐かしむ 三好つや子十二月八日のバスに乗らんとす  河田清峰 川上は銀の櫨の実鳴るところ   榎本祐子
         (谷口道子記)

  


2018年11月10日 関西スクールの概要 

講師による高評価の句

 東方に光あり萱の岩湧山(いわわき)    樽谷寛子 
 身を反らし点ける灯火京の秋            白石修章 
 枯木立DADAの目玉のあまたなり             白石司子 
 小春日やエンディングノートの筆進む       長尾向季
 蚯蚓鳴く左の欠けるニュースかな               三好つや子 
 人生の午後ピカピカの釘を打つ          坂本久刀
 夏休み粘土のように柔らかい          葛城裸時 
「もみずる」百回唱え鬼になる          榎本祐子 
 チクチク刺す黒の力や黒枝豆          谷口道子
 泡立草つづく伊予路や背を正す         白石修章
 魚眼レンズの中に極月の街                 白石司子
 伊吹嶺に対峙どうどう稲架襖         長尾向季 
 どっちにも歩のある選挙大根引く             村上紀子 
 陽の重み直哉旧居の柿すだれ         坂本久刀 
 躁鬱やオリオンを組みまた解く        榎本祐子
 短日や地下足袋を脱ぐ茶の香り        松本孜 
 羊雲午後の女教師名調子                 小宮豊和


  本日のひとこと

 あまり知られていない地名、山名をつかう場合は、その土地の特徴的な植物などへ焦点を持っていくこと。 
 例1 萱の岩湧山(いわわき)を 岩湧山の穂芒 にするなどの工夫を。 
 例2 伊吹嶺は丁度良い知名度。これが、比叡山や富士山では山のイメージがはっきりし  すぎてバランスが悪くなる。
                              (谷口道子記)

関西スクールの概要 2018年10月9日

講師による高評価の句

1   吹っ切れて秋天走る車いす                 村上紀子

2  滑莧村のポンプ井涸れにけり           樽谷寛子

3  番雀か草露啜りおるバス停                  金岡純子

4  草の花夕陽は透けて語り上手           増田暁子

5  雨上がり毬を飛出す丹波栗                  松本 孜

6  缶詰と缶切り冷やす冷蔵庫                  葛城裸時

7  豊の秋モアイのごとき顎が行く          三好つや子

8     宵闇や無灯火自転車すれ違ふ           長尾向季

9  花野風浅き傷より乾きゆく               小西瞬夏

10  平城宮跡の音色や初嵐                      坂本久刀

11  秋蝶の翅たたむように戦後史       白石司子

12  鱏のごと今日も見ている火夏星      白石修章

13  虹の根をつかみそこねて穴惑い      三好つや子

14  鳥渡るいのち一つを引っ提げて      小宮豊和

15  心頭くらくらいちじく酸いくなる     榎本裕子


                                          (谷口道子記)



2018年9月8日関西スクールの概要 
講師による高評価の句
1  蟬骸そこここ生まれてよかったか    金岡純子
2  かなかなの語尾のにごりの雨もよう   増田暁子
3   濃尾の青田尼僧絵のごと風のごと     樽谷寛子
4  終戦日日焼けた疎開の子の行方       松本 孜
5  雲の峰微動だにせぬ延長戦         白石修章
6  雲を脱ぐ丹波の富士や稲の花        村上紀子
7  シベリアの五万柱に芋殻焚く        小宮豊和

8  林檎人夢にばかり包まれて         葛城裸時
9  全てやりたき整理整頓猛暑来る     坂本久刀
10  調査船稲妻直に沖を切る        谷口道子
11  熱帯夜標本箱という秘境        三好つや子
12  かすれたる家系図烏瓜の花       長尾向季
13  腐りゆく水にぼんやり水中花      榎本祐子
14  空に放つ紙飛行機子規忌なり      白石司子

本日の注意点

 常々、「キレを入れ」と言っているが、「 ”の”でつなげることによる、”切れつつつながる” 得もいわれぬ空気感を表現することも大事 」

 

2018年7月14日関西スクールの概要


 講師による高評価の句
1   川音は闇を執せり恋蛍           村上紀子
2   ブラックバス雑魚喰い荒す青葉闇      松本 孜
3   言い訳の闇にほうたる色退せて       増田暁子
4   植田一面雲も甍も故郷のもの        白石修章
5   サングラス困ってますねん涙目に      谷口道子
6   水中花糊を貼るのを思い出す        葛城裸時
7   黒塗りの教科書の中くちなわ匍う      白石司子
8   曲屋の夏の夜神楽天鼓かな         樽谷寛子
9   冷奴おまけのように父座る         三好つや子
10   胸鰭背鰭菖蒲畑に隠しおく         榎本祐子
11  訃報来る緩む齢に植田風          坂本久刀
12  揺れ最中地震中継見るも我         金岡純子
13  鮒鮓や出雲に生ワニ食べる村        長尾向季

本日の注意点
「名詞」「動詞」「名詞」の組み合わせの場合。上五、下五の置き方に注意。
                                                                                                         (谷口道子記)

関西スクール

関西スクール

毎月第2土曜日に句会方式の互選と講師の講義で進められます。
海原会員以外の方やまッたくの初心者の方も歓迎です。武田先生の温かく、丁寧な指導の下、和気あいあいとした雰囲気で進められています。

開催日時 第2土曜日 9:30~12:00
場所   大阪市生涯学習センター会議室(大阪市梅田第2ビル5階)
講師   武田伸一 (金子兜太主宰誌海程編集長、後継誌・海原発行人)
費用   1か月3000円
投句方法 1週間前までにはがき・FAX・メールなどで2句

世話人     榎本祐子
        谷口道子(投句受付係) 

2018年9月21日金曜日

大阪句会の概要

大阪句会抜粋

大阪句会 9月19日

イソジンが蒸発するや恋心    葛城広光
案山子たつ家族揃うは畑かな   樫本昌博
羅(うすもの)の母を白南風巻きしめる   
             小宮豊和
子等帰り高きを競う秋茜     白石修章
アルプスにキベリタテハの気ままかな
             滝澤泰斗
読み書きの夜長あなたは不老不死 竹内義聿
怪しげなざわわきっと大夕立   谷口道子
コロナ禍(まが)バベルの塔の絵ざわつくよ
             樽谷寛子
私の柔らかい臀肉天の川     豊原清明
カマキリのゆめ曼珠沙華の夢夜明け
             野﨑憲子
屏風絵を抜けて遊女の月光浴   新田幸子
かなかなや不要不急と肩が凝り  増田暁子
沼(ぬ)島(しま)よりポルカのリズム秋黴雨 
             矢野千代子
人に逸れ笛の洞ろへ秋の息    榎本祐子
             (榎本祐子記)

大阪句会 2020年8月13日

明易や蜩鳴くよここは祖谷    樫本昌博
真っ直ぐなストロー速い新幹線  葛城広光
鶏頭のでこぼこ坊主頭かな    小宮豊和
明けきらぬ村に残月田草取り   白石修章
編み物と俳句で日盛りやり過ごす 滝澤泰斗
貝割れ菜出生以前に神宿る    竹内義聿
鉄兜幾度の渡河や蝉時雨     谷口道子
白鳩の一羽は少年広島忌     樽谷寛子
立秋や世間と会わず部屋の中   豊原清明
進捗を確かめに行くかたつむり  新田幸子
青空の青が降ります紅の花    野﨑憲子
胃カメラ飲む金魚鉢の波荒れるごと
                増田暁子
千両青実拭わぬ涙がぽとぽとん 矢野千代子
櫛洗うつくつくぼうし鳴き出した 榎本祐子
             (榎本祐子記)

大阪句会 2020年7月18日

七夕や肥の国水禍ただ拝す    樫本昌博
卵焼き二人のおでこが触れるとき 葛城広光
鶏頭に施肥して夏をやりすごす  小宮豊和
児等よ来よ蟬の緑子翅を干す   白石修章
縺れるは別れ話のホタルかな   滝澤泰斗
至近にありされど遥かなる木槿  竹内義聿
梅雨晴れ間お年寄と蟻の列    谷口道子
小学校の土俵存続大青田     樽谷寛子
地下街でカレーを食べた梅雨の刻 豊原清明
空蝉よりはて面妖な追伸来    新田幸子
小生は風でござると蝸牛     野﨑憲子
夏蝶にあこがれ少女の乱反射   増田暁子
ペンギン君いまにズボンがずり落ちる
               矢野千代子
万緑に鴉つくづく濡れている   榎本祐子
             (榎本祐子記)


 大阪句会 2020年6月20日

ガキの頃プラネタリウムは蚊帳の中
                樫本昌博
リモコンを芝生の上に忘れたる  葛城広光
たんぽぽのような赤ちゃん抱きにけり
                小宮豊和
少年の飛び込む水面合歓の花   白石修章
孫は学習俺は退化や今朝の秋   滝澤泰斗
その場に居合わせただけ花筏共に見る
                竹内義聿
大都会アラート色の入梅(ついり)雲(くも)    谷口道子
ぷくっとアマリリス吉祥天女かな 樽谷寛子
禿げ坊のアイスキャンディー紅き舌
                豊原清明
人に塩振る花折峠を帰り来て   新田幸子
くだけて波よ青水無月の花嫁よ  野﨑憲子
青を漕ぐ背を向く少女の捩り花  増田暁子
愛染堂楊梅千本のしずかさよ  矢野千代子
棕櫚の花仰ぎ夕べのお念仏    榎本祐子
             (榎本祐子記)

大阪句会 2020年5月16日

鈴蘭に蹴躓きたり鈴拾う     樫本昌博
散水車艶艶艶の字を配る     葛城広光
その角を曲がれば別の世の五月  小宮豊和
人絶えて透ける葉桜空のずれ   白石修章
再びの抑留地にて春と逝く    滝澤泰斗
高架電車の地面に百済沈みゆき  竹内義聿
コロナ疲れソファー斜めの人形たち
                谷口道子
怪光を集めて菜の花蝶と化す   樽谷寛子
夏の犬ひょろひょろとして土を食う    
                豊原清明
ステイホーム無聊を託(かこ)ち臍のごま  新田幸子
舌先でつくるシヤボンや蛇の衣  野﨑憲子
ゆびきりの針千本蛇は皮を脱ぐ  増田暁子
青みかん早口ことば競いたる  矢野千代子
ときどきは春蟬のよう泣いてみる 榎本祐子
             (榎本祐子記)

大阪句会 2020年4月18日

菫かな駆け寄りのぼりその先も  樫本昌博
動物の悦び赤いマッチ飛ぶ    葛城広光
桜さくら痴呆が一人立ち尽くす  小宮豊和
友逝くやコロナ籠りの花の雨   白石修章
コロナ禍が戦争の体万愚節    滝澤泰斗
孤独死の爪切りそろえ路地の月  竹内義聿
落花の道湿りの気配に沿いながら 谷口道子
夕映えのぶらんこ金剛山(こんごう)蹴る少女 樽谷寛子
野遊びの恋人残し影広がる    豊原清明
開園ベル河馬はガバリと水を脱ぐ 新田幸子
櫻騒潮騒人騒コロナ騒      野﨑憲子
紅を差す女人の腰や牡丹の芽   増田暁子
実万両くしゃみぽとんと乙訓(おとくに)へ  矢野千代子
囀りの伸びて縮んで生き急ぐ   榎本祐子
             (榎本祐子記)

大阪句会 2020.3.21 

祖母の手も観音さんも白木蓮(はくれん)か  樫本昌博
木の芽時閑職の椅子逆さまに   葛城広光
卵かけごはんまぶしい寒の朝   小宮豊和
涅槃西風悲しいねえと独り言   白石修章
儒者賢者密使早駒やばい口舌   竹内義聿
コロナ禍にやがて悲しき地球冷え 滝澤泰斗
花殻を摘めば冷たき椿かな    谷口道子
梅ひらくように「歎異抄」輪読す 樽谷寛子
うりずんや湿気た聖書開く閉づ  豊原清明
会者定離切子グラスの花薊    新田幸子
囀やブテイツクこまどり閉店前  野﨑憲子
球根植うひらがなかたかなちりばめて
                増田暁子
兜太の忌金剛山(こんごう)稜線太々と   矢野千代子
爪を切る音が桜を咲かすのです  榎本祐子
             (榎本祐子記)

大阪句会 2月15日 

冬帽のほどけそうだよ辛夷蕾   樫本昌博
歯磨き粉ぽとり落として蝸牛   葛城広光
卒業す板の廊下を踏み鳴らし   小宮豊和
受験生きりり髪結う自習室    白石修章
迷惑かけることが生き甲斐かも知れぬ
                竹内義聿
白さ際立つ迷わずずっしり大根焚き
                谷口道子
春手袋百済観音に会いたし    樽谷寛子
春月輝吾は兜太読み耽る     豊原清明
星凍るホットケーキのふ~わふわ 新田幸子
あやかしの大欠伸して雪まろげ  野﨑憲子
霞む比叡山(ひえい)影絵のように友病んで 増田暁子
沢蟹や膝やわらかに湖族われ  矢野千代子
効きすぎの暖房ころんと尾骶骨  榎本祐子
             (榎本祐子記) 

2019年12月21日

山脈に雲影流る行く秋か     樫本昌博
闇落ちの夜に開く桜貝      葛城広光
立枯れの枝の剪定壺中天     白石修章
ネコ動画いいねしてノンキ年の暮れ
                滝澤泰斗
尿瓶携行は兜太の理性汚染の野  竹内義聿
柘榴食ぶかしこまって二人    谷口道子
褞袍着て常宿(やど)に納めし翁面    樽谷寛子
暗窓に鴎の死骸冬の刺      豊原清明
どのレジに並ぼうかしら赤のまま 野﨑憲子
冬帽子見たいものしか見えぬ街  増田暁子
日暮はやし物集女(もずめ)集落はここ  矢野千代子
非戦派や焼芋で臍あたためる   榎本祐子
             (榎本祐子記)

2019年11月16日

脚高蜘蛛日めくり裏で時とめる  樫本昌博
むし米の蒸気冬晴れの鬼瓦    白石修章
クリスマス林檎の皮にピアス刺す 葛城広光
ポプラ枯れ眠りにつかむ抑留墓地 滝澤泰斗
夜更かしの蝉酸欠の工房     竹内義聿
鳶しきり石灯台の冷えて来て   谷口道子
炉開きの香練る指の美しきかな  樽谷寛子
牢屋から冬虫の出て我赤目    豊原清明
深鉢に小芋の煮付帰心逸る    新田幸子
扇ひらけば狼の遠吠え      野﨑憲子
齢人(よわいびと)のおどけ笑いに似て芒   増田暁子
けんかまつり天王山へ曇奔(はし)る  矢野千代子
石蕗の黄の標のありて逝きにけり 榎本祐子
             (榎本祐子記) 

2019年9月21日大阪句会 

手のひらで天道虫とシーソーす  樫本昌博
末の世もすみっこぐらし栗ご飯  白石修章
ヤンキーは制度に不満ゆで卵   葛城広光
定刻に自転車ぴしゃりヘルパー来る
                竹内義聿
終り際なべて天指す百日紅    谷口道子
ふらり来て今朝の挨拶蛇の目蝶  樽谷寛子
八朔や四方八方白き壁      豊原清明
運動会白線ばかりを暮れ残す   新田幸子
ググーポッポ満月かついでくる少女
                野﨑憲子
眠れぬ闇銀河を越える櫓が聞ゆ 増田暁子
麦藁くべて産着干したるここ若狭     
               矢野千代子
脳軟化鰯の干物しゃぶっている  榎本祐子
             (榎本祐子記)

2019年8月17日

蟻達が迷う地面に拡声器        葛城裸時
天の川村深々とデブリ溜まる      白石修章
木槿の花が全開の朝蝉沸き立つ     竹内義聿
台風来浄土へ着けたか「だ骨」さん   谷口道子
鴉の子きらきら貌でおらを呼ぶ     樽谷寛子
八月や魂の宿りを嬉々として      豊原清明
打水や女将に一つ艶ぼくろ       新田幸子
?しぐれ杖のなかほどほの赤し      野﨑憲子
蒜山高原寝入るテントに「ベガ」が射す 増田暁子
べろべろと血を吐きカンナ咲かすのよ  榎本祐子
             (榎本祐子記)

2019年7月20日大阪句会

白鳥が水になったよ白い水      葛城裸時
月天心斜陽の街の盆踊り       白石修章
通函で繋ぐ解体業の夏        竹内義聿
愚痴が回復八十路の暑葉書にウフフ  谷口道子                
雨蛙「YMCA」は踊れまい     樽谷寛子
浮世かな今朝は二度寝の冷し粥    新田幸子
胸のボタン弾けそうなり梅雨の月   野﨑憲子
沖縄の孕む朱色や八月来       増田暁子
鮮やかな唇の色囮鮎         豊原清明
黐の花夕べむんむん煮くずれて    榎本祐子
               (榎本祐子記)

2019年6月15日の概要 大阪句会


綿菓子の香り仄かに夏の雲      葛城裸時
頂にビーコン白し佐渡萱草      白石修章

耄碌自由八十路の通景計り止まず   竹内義聿
新じゃがや股関節屈曲伸ばさねば   谷口道子
なめくじりひよいとベニスへ舟遊び  野﨑憲子
どくだみ咲く青春わっと後悔     増田暁子
浄瑠璃に泪牛丼食べて夏       榎本祐子
                (榎本祐子記)

2019年5月18日の概要 大阪句会

色丹のカールおじさんは田螺      葛城裸時
花水木ままごとのよう友の墓      白石修章
愛妻家飽きもしないで冷奴       小西豊和
令和零年お降(さが)りハレルヤ津々浦々 竹内義聿
椨(たぶ)若葉笑いすぎだよ宇治の山   谷口道子
学校とうあしたの種を播くところ    新田幸子
囀や歩けば歩くほど混沌        野﨑憲子
黄昏草ベンチの隣が空いてます     増田暁子
若気の至り羊蹄を食べ過ぎた      榎本祐子
              (榎本祐子・記)

2019年4月20日 大阪句会の概要

御飯粒雀の卵についている    葛城裸時
平成を咲き収めんと残花かな   白石修章
百代の過客我いま葛橋      竹内義聿
葱坊主丈の凸凹下京区      谷口道子
マカロンは春の色なす天体や   新田幸子
引き潮の沖へ沖へと揚羽蝶    野﨑憲子
春はあけぼのカモメのジョナサン不眠症
                増田暁子
一文字(ひともじ)の重たさ正午(ひる)の時報です 
                矢野千代子
国籍のこと花粉症の鼻かみて   榎本祐子
             (榎本祐子・記)

2019年3月16日 大阪句会の概要

真っ青な身体を風邪と間違った    葛城裸時
下校の児何を捜すや土手青む     白石修章
思い出が木立のように馴染む路地   竹義義聿
「達(だっ)陀帽(たんぼう)戴かせ」への字の口の目が笑う
                  谷口道子
吊革の〇と△春が来た        樽谷寛子
心延(ば)え目高の孵化のゆらぎかな  新田幸子
弥次郎兵衛ぎゅんと傾ぎて晩霞かな  野﨑憲子
温水に洗う食器の未来像       野村だ骨
初ざくら卑弥呼の息根は空耳か    増田暁子
螢烏賊は家来じゃないよ明滅す    矢野千代子
白酒やほたほた昔の足音か      榎本祐子
                (榎本祐子記)

2019年2月16日 大阪句会の概要

なんきんに多分深い海がある     葛城裸時
げんげ田の雲に電報サイキコウ    白石修章
ちんまりとまるで古漬日向ぼこ    小林寿美子
知らんけどな聞いたことやと大阪人  竹内義聿
雪の大原とちもちぜんざいお薦めです 谷口道子
冬木透き九度山沿線はにかむよ    樽谷寛子
荒波や佐渡の世阿弥に紅椿      新田幸子
影法師も小石も風も囀れり      野﨑憲子
すし桶に切って酢めしや春の声    野村だ骨
風花や鉄路に秒(とき)の吹き溜まり  増田暁子
対岸は室津港とう梅ほつほつ     矢野千代子
春月が舐めゆく路上アートの壁    榎本祐子
                (榎本祐子記)

2019年1月9日 大阪句会の概要

昼休み海月のように温かい     葛城裸時
明の春けんけん踊りの踵より    白石修章
望郷や墓に通じる雪の道      滝澤泰斗
卓に水仙鰈からりと骨まで素揚げ  竹内義聿    
膝痛や獅子頭の紅今日はきつすぎ  谷口道子
エプロンは「くまのプーさん」芹を摘む  
                 樽谷寛子
おおかみに出合う男女よ春峠    豊原清明
冬すみれ無音の底の海潮音     野﨑憲子
初夢や海鼠の彈力丸呑に      野村だ骨
白さざん花ざわめく島の診療所   新田幸子
恋はしたたか跋文のごとつもる雪  増田暁子
追従や頬杖のぼる冬の霧      矢野千代子
ペンギンの足のようなる愛探す   榎本祐子
              (榎本祐子記)

2018年12月15日 大阪句会の概要  

神の旅続々殖える塾子供      葛城裸時
昼の月一直線に鼬の子       白石修章
「男と女」ホテル・ノルマンディー秋暮色  
                 滝澤泰斗
吾亦紅大胆なりや三岸節子     竹内義聿
白樺立ち枯れ魁夷ブルーの水鏡   谷口道子
紅葉かつ散るレンズの中で眠る女(ひと)
                 樽谷寛子
旦那衆集う福助の足袋履いて    新田幸子
舌に風乗せて遊んでゐる狐火    野﨑憲子
靴底に熱砂の記憶落ち葉踏む    野村だ骨
左から枯れほんのり山越阿弥陀仏  矢野千代子
大根の干され妙に照れている    榎本祐子
              (榎本祐子記)

2018年11月17日 大阪句会の概要

冬の雨乳のしたたるのと同時      葛城裸時
穭のぶ亡父へ電話の請求書      白石修章
石頭は突然変異ななかまど       小宮豊和
聞け慟哭見よ一面のブタ草を      滝澤泰斗
顔を洗えば髑髏がうごくヒヤシンス   竹内義聿
雲の湿りや亡母の手編みセーターは   谷口道子
地図絵皿周防の国の柚子を盛る     樽谷寛子
花野風かくれんぼの鬼みいつけた    野﨑憲子
曼珠沙華消えた村から又、一人     野村だ骨
茶の花や産着ぬぐよう月の暈(かさ)   増田暁子
荻の声灸点がまだ定まらぬ       矢野千代子
柿の種つるんと呑んで天高し      榎本祐子
               (榎本祐子記)

2018年9月15日 大阪句会の概要

霧はまだとおっていない歯の隙間      葛城裸時
行く春や弛む夕餉の糸電話      白石修章
微香せり白い夜明けの稲の花        小宮豊和
垂直に蠍座モンゴル大とばり        滝澤泰斗
椎茸栽培のように生き延び文句あるか   竹内義聿
秋刀魚その黄色き吻(くち)よ夢のあと  谷口道子
姥百合や声つつぬけの丘の寺        樽谷寛子
確認は歯型の哀れ曼珠沙華         野﨑憲子
座布団の厚さに秋を出迎える        野村だ骨
咳き込んで銀河の雫を見失しなう      増田暁子
送り火やひとりの夜の泡立てる        矢野千代子
擦れ違うちりっと金属質の秋        榎本祐子
                    (榎本祐子記)

スケジュ-ルのお知らせ

スケジュールのお知らせ  関西合同句会 (偶数月の第2土曜日、午後) 6月、8月   休会                    関西スクール (毎月第2土曜日、午前) 7月  7月11日(土) 通信教室に変更 8月  お休み 9月  9月12日(土) 通信教室に変更...